新居浜在住の写真好きがお届けする、すこーしマニアックな四国の観光写真

■2018秋 広島3日間

■2018秋 広島3日間


1日目

 7時5分発の普通列車で中萩駅を出発。久々の電車でドアがボタン式だったり、通学の高校生でいっぱいの車両の中切符を買おうにも車掌がなかなかやってこなかったり何かととまどうことが多い。1時間弱で今治駅に到着。駅周辺をぶらついて時間をつぶした後広島行きの高速バスに乗る。40~50%程度の乗車率。しまなみ海道を経由して広島へ。
 
 約20年ぶりの広島には40階以上と思われるビルが何棟も建っていてびっくり。終点の広島バスセンターに到着、大通りに出て宮島行きの電車に乗る。激しい縦揺れでしばしばお尻が浮きそうになる独特な乗り心地を楽しみながら約50分で終点の宮島口。10分の船旅で宮島へ。

 神の島宮島。自然の中だけでなく商店の軒先など至るところに鹿。お昼を牡蠣にするかあなごにするか迷ったが、商店街の中で目についた牡蠣屋というお店に入る。焼き牡蠣や牡蠣フライ、牡蠣ごはんなどがセットになった定食をいただきながらビール。厳島神社を順路通りに通り抜け、五重塔や千畳閣、町屋通りのあたりを散策。
 
 広島へ戻りメルパルクにチェックイン。用意していただいたのは最上階のツインルーム。すぐ下に見える広い空き地は広島市民球場跡地とのこと。

 徒歩1分で原爆ドームへ。原爆ドームは爆心地のそばで被爆した広島県産業奨励館などとして利用されていた建物のことで、原爆の悲惨さを後世に伝えるための記念碑として考えられている。被爆建物のうちの一つに過ぎなかった建物が後に原爆ドームと呼ばれ、平和記念公園の重要な一部となり、世界遺産にまで指定されるに至った特異な歴史的経過が興味深い。公園内では教師から説明を受ける修学旅行の生徒や歌を歌っている集団にもいくつか出会った。いずれにしてもこの付近には少し重めの空気が充満しており、軽はずみな言動などは憚られる。

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 平和記念資料館は本館が改修中のため東館で縮小展示中。新居浜に終戦直前爆撃があったことは知っていたが、それが原爆の模擬爆弾パンプキンであったことは初めて知った。家に戻ってから調べたところ、長崎型の原子爆弾ファットマンと同じ型の爆弾(ただし中身はコンクリートなど)が、長崎に原爆を投下したのと同じB-29、ボックスカーによって投下されたという事実。広島、長崎後に日本が降伏しなかった場合、パンプキン投下地のいずれかが次の原爆投下地の候補になる可能性が少なからずあったとのこと。1階の資料展示コーナーでは焼けただれた被爆者の写真や実際に身に着けていた物などが展示されている。水を欲しがっていたらしい行方知れずの息子のために毎日水をささげ続ける母親の手記など読もうとするが直視できない。

 外に出ると予期せぬ雨。小雨のなか歩いて夕食へ。ネットで評判のよかった麻婆豆腐の店でビールを飲みながら単品の青菜いためと台湾酢豚・麻婆豆腐の定食。本屋で立ち読み。コンビニでデザートを買ってホテルに戻る。


2日目

 朝食前に平和記念公園へ。朝日がさし始めた原爆ドームや原爆の子の像のあたりを散策。ホテルへ戻りバイキングの朝食。穴子ご飯など盛りだくさんなラインナップで大満足。

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 歩いてひろしま美術館へ。荷物をロッカーに預け、心をととのえてから今回の広島訪問の目的「ブリヂストン美術館展」に突入。ブリヂストン美術館は東京京橋のビルのワンフロアを利用したこぢんまりとした美術館で、印象派などの西洋絵画を中心に現代美術や古代エジプトのコレクションなどがある。規模もほどよい感じで、何より展示のほぼ全部が自分にとってのストライクゾーンっていう唯一無二のお気に入り美術館。改装中で長い間ごぶさたしていた作品たちがごっそり広島にやってくるとあってはいてもたってもいられない。モネの睡蓮(1903年のほう)の余白の感じや画集ではわからない複雑な色使いなどを堪能。「絵は2メートル離れて見ましょうね」小学校教師の言葉が飛び交うなか超至近距離で絵にへばりついている自分がちょっと気まずい。ドガの肖像画やルオーのピエロ、マチスやピカソなどお馴染みのメンバーをたっぷり満喫した。

 別館に移りコレクション展。所蔵作品のうち人気投票上位の10作品を展示した小部屋に入る。ゴッホやピカソ、フジタに大観、竹内栖鳳などが一堂に会する不思議な空間。人気投票第1位はゴッホのドービニーの庭。明るい緑が基調の美しい絵で一般の鑑賞者のコメントが添えられている。この絵を見るためにひろしま美術館にきましたとかこの絵は広島の宝です的なコメントに愛を感じた。2位のル・シダネルは初めて名前を聞いた画家さん。夕暮れのバラの庭で、奥に建つ小さな小屋には灯りがともっている美しく優しい作品。大きい作品なので少し離れた場所から鑑賞するといい感じだが、ここで一つ発見!眼鏡をふくために一時眼鏡を外し裸眼(視力0.1未満)で絵を見たところ、これがすばらしかった。隣に飾られたフジタの絵など繊細な線の絵で同じことをするともう何がなんだかって感じになるが、シダネルの絵の場合魅力が減るどころかむしろ増幅されたような、なんだか不思議な体験だった。コレクション展をぐるりと2周。モディリアーニの青いブラウスの婦人像とかすばらしい。ブリヂストンと同じあたりを攻めているような印象の美術館。自分的にはやっぱブリヂストンかなって感じだがひろしま美術館のコレクションも十分に興味深かった。

 昼食は人気のお好み焼き屋「みっちゃん総本店」。10人待ち約15分で入店。そば肉玉子とキムチにビール。川栄李奈の来店時の写真が飾られていた。歩いて縮景園へ。原爆で壊滅的な被害を受けた庭園にも今は穏やかな時間が流れている。池の小島に植えられた松が印象的。隣接する県立美術館へ。ブリューゲル展が開催されていたが全く興味がないので常設展だけのチケットを購入。有名画家の作品も多数展示されていたが和高節二「村の子供」が良かった。シンプルだが強い。いろいろなイメージが湧き上がってくる作品。

 広島城へ移動。日清戦争時の大本営跡。首都機能が広島に集中した時代、一時期とはいえこの草むらが日本の中心だったと思うと不思議な感じがする。付近には被爆樹木の札がつけられた木々が点在。それぞれに爆心地からの距離が書かれている。

 ホテルで休憩した後再び原爆ドームへ。欧米からと思われる外国人が多い。すぐ隣のおりづるタワーに入る。観光名所らしいが十数階建てのビルの入場料があべのハルカスより高い1700円ってなにか違和感を感じる。大通りで階段を降りるとちょっとした地下街がひろがっていてびっくり。本通りのアーケードを経由して薬研堀へ。地元のお好み焼き屋の大将が修行したという広島焼きの名店「薬研堀八昌」に入る。目の前の鉄板では仕上げ担当の人が卵を焼き、別の担当が焼いたお好み焼きをのせて形を楕円形に整えている。十数個卵を割るのを見たが二黄卵が出る確立20~30%程度(ちなみに新居浜の店はほぼ100%)。おいしいがワイルドさと量は新居浜の店のほうが好みって感じ。にこみとそば肉玉、ビールを2杯いただいた。ホテルに戻り、ほんの2~3キロ先マツダスタジアムで試合中のクライマックスシリーズ第1戦の中継をみた。


3日目

 昨日同様、2階のレストランで路面電車や通勤途中のサラリーマンなどを眺めながらバイキングの朝食。ホテルに隣接のバスターミナルから尾道行のバスに乗る。

 尾道駅前で下車。いらない荷物をロッカーに預け、歩き出して1分、駅そばの踏切を渡ったところにあるギャラリー喫茶「孔雀荘」でいきなり休憩。20数年前尾道に来た時に立ち寄った喫茶店で小林和作さんの絵が飾られていたことと真っ赤なミックスジュースを飲んだことを記憶しており、今回もその赤いミックスジュースを注文するつもりだったがメニューにない。現在の店主は約20年前に先代から店を引き継いだそうだが、そのミックスジュースについてはわからないとのこと。記憶違いの可能性もあるので深追いはせずハーブティーをいただいた。

 駅でもらった地図をたよりに細い路地に突入。すこしすすけた町に点在するお寺、ちょっと高台に上がると尾道水道ごしに向島の風景。ノスタルジックな海辺の坂の町で自ら迷子になる快楽。大林監督の尾道3部作でブームになったのはずいぶん昔の話だがいまだにこの町をめざす人は多い。かつてどこかの寺の境内でみた牡丹や石榴の木の風景を探そうとするが、なにぶん20数年前のおぼろげな記憶のこと、結局はわからないまま。いたるところで出会う人慣れしたネコと遊びながら千光寺方面へ。

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 尾道市立美術館「旅する文人 小林和作」展。前回の訪問時も小林和作さんの絵がたくさん展示されており、油彩の風景画の全面に雨の線が多数書き込まれたいささか暴力的な作品に衝撃を受けたことをおぼえている。にわか仕込みの浅い知識で簡単に小林和作さんの紹介。明治21年山口の生まれ。裕福な家庭環境で育ち、京都の美術学校を卒業、渡欧も経験。さまざまな作風を模索しながら、もちろん中央をめざしたとは思うがいいところまではいくが大きくブレークすることはなかったようだ。芸術面、金銭面ともに浮き沈みのあるなか、若干失意の状態で尾道に移り住んだと想像されるが、その尾道で地元の美術の振興に尽力、みんなに愛され作品も残し続けたという芸術家の人生。すばらしいと思う。

 海辺の食堂で魚卵の煮つけを肴にビール。尾道ラーメンもいただいた。山陽本線で福山へ移動。福山発今治行きの高速バスで今治へ。今治駅前で下車しKさんと合流。今日は取引先の社長Kさんに無理を言って今治の料理店を案内してもらうことになっている。いきつけの焼き鳥店へ向かうが運悪く定休日、南高そばの炭火焼き鳥の店へ向かう。ビールやチューハイを飲みながら、小ぶり上品系のおいしい串をどんどん追加。キャベツも何度かおかわりした。話が盛り上がっていたが帰りの電車の時間もあるので早めに駅そばの次の店へ。いけすのある海鮮居酒屋。透明ぎみなしょうゆでいただいたしめさばが最高においしかった。

 21時13分今治発のしおかぜで帰途につく。普通列車に乗り換えるため西条駅で下車。改札の駅員に乗り換えのホームを確認すると3番線とのこと。千鳥足で歩道橋を渡る。ホームに降りたところで鳴り響くベル。急いで乗り込むとすぐに扉が閉まった。扉にもたれかかって進行方向を見ていると、まさかまさかの展開。列車が逆方向に動いている。ダメかも…。いろいろな考えが頭のなかを駆け巡るが、最終の乗り継ぎに失敗したことは明らかだった。石鎚山駅で下車。上りの列車はすでに終了しているため観念してタクシーを呼ぶ。こんなに暗く寂しい駅があるのかというような石鎚山駅で約20分寒さに耐えタクシーに乗り込む。運転手さんと雑談、三千数百円を支払って家にたどり着いた。



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